「物流2024年問題」から1年──EC事業者に今起きている現実とは？
2024年4月に本格化した「物流2024年問題」。
それから1年が経った今、EC業界にもその影響は確実に広がっています。
この記事では、EC事業者が直面している現実と、これからの対策の方向性について解説します。
物流2024年問題とは？
「物流2024年問題」とは、働き方改革関連法により、トラックドライバーの労働時間が制限されることで生じる、輸送力不足・配送遅延・コスト上昇などの一連の問題を指します。
▼ 主なポイント
- 時間外労働：年間960時間までに制限
- 結果として、長距離配送・深夜便の人手不足が顕著に
- 輸送キャパ不足により、物流会社が受託制限・料金改定を実施
EC事業者に起きている現実（2025年現在）
1. 納期遅延の増加
- 通常翌日配送だったエリアが2〜3日後着へ変更
- 一部エリアでの時間帯指定不可化
- セール・キャンペーン時の突発的な発送対応が困難に
2. 配送コストの上昇
- 物流業者による契約料金の見直しが相次ぎ、平均10〜20％のコスト増
- 小規模ECでは、利益を圧迫する事例も多発
3. 顧客体験への影響
- 「遅い」「届かない」といったレビュー評価の低下
- 迅速な対応ができる大手ECとの差が拡大
これからの対策｜EC事業者が今できること
1. 物流拠点の見直し（3PL活用・倉庫分散）
- 地理的に分散した3PL倉庫を活用することで、配送リスクの分散が可能
- 出荷元の選択肢を持つことで、納期とコストのバランスを最適化
2. 配送スピードより「通知の正確性」を重視
- 「翌日着」ではなく、「◯日以内に到着予定」と明記
- 予想配送日・追跡リンクの即時通知で、顧客の不安を軽減
3. 商品や販売戦略の見直し
- 小ロット・軽量商品を強化し、クリックポスト・ネコポスなどの活用
- 送料無料の条件見直しでコスト圧縮を図る
まとめ｜“物流に強いEC”が選ばれる時代へ
「早くて安い」はもはや当たり前ではなくなりました。
今求められているのは、「きちんと届く仕組み」と「顧客への丁寧な情報提供」。
物流2024年問題は一過性ではなく、構造的な変化の始まりです。
だからこそ、今こそ物流戦略をアップデートし、“強くて柔軟なEC”へと進化させるタイミングと言えるでしょう。
